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秋田県秋田市|2021年〜

MATAGI SNIPERS(マタギスナイパーズ)/株式会社エスツー  

高齢化率No.1の秋田から生まれた、逆転の発想! シニア活性化の秘策はeスポーツ!?
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■概要:日本一少子高齢化が進む秋田で発足した、日本初シニアのプロeスポーツチーム

MATAGI SNIPERS(マタギスナイパーズ)は、秋田県在住の60歳以上のプレイヤーで構成される、日本初のシニアプロeスポーツチーム。日本一高齢化が進む同県で2021年に発足し、「孫にも一目置かれる存在に」をスローガンに掲げて活動する。チーム名は、秋田県が特に有名な、古くからの狩猟方法を行う猟師たちの呼称である「マタギ」から考案した。現在のメンバーは11名で、シューティングゲーム『VALORANT』(ヴァロラント)をプレイする。各自の自主練習に加え、平日は毎日13時~17時に合同練習によって技術を磨くほか、配信を通してファンと交流するなど、オンライン上でのコミュニティづくりにも積極的に取り組んでいる。

 


第二期メンバーとして活躍する「ひろBoo」さんは、
若い頃からゲームで使っていたあだ名をプレイヤーネーム(ゲームをプレイする時の名前)にしている

 

■背景・課題:「若者を外から呼び込む」のではなく、今いる「高齢者が活躍する」ことで地域を活性化する

秋田県は、日本で最も高齢化率が高く、出生数もこの30年で約3分の1に減少するなど、高齢化が深刻な課題となっていた。地元IT企業のエスツーは、ITの力で地域に貢献できる方法を検討し、まずは県内在住の若者を中心にしたeスポーツチームを2020年に発足。その後目を向けたのが、県内で大きな割合を占める高齢者の存在だ。従来の高齢化対策は、若者を呼び込むために、若年層をターゲットにした施策が中心だった。しかし同社は発想を転換し、高齢者が活躍できる場をつくり、その姿が若い世代にも伝わることで、地域全体の魅力向上につながるのではないかと発想。マイナスに捉えられがちな高齢化を逆手に取り、若年層の競技というイメージが強いeスポーツにシニアが挑戦する企画として、2021年にシニアのプロeスポーツチームを発足させた。

 


通常オンライン上では対戦相手の年齢などはわからないが、
チャットで個別にやり取りをすると、「相手が自分の孫と同じ世代で驚いた」
という経験もあるという

 

■実績:秋田発のシニアeスポーツチームが、国内外から注目を集める存在へ

マタギスナイパーズのメンバー募集を告知したプレスリリースは、高齢者とプロeスポーツチームを組み合わせるという意外性が注目を集め、大きな反響を呼んだ。記者会見には地元テレビ局や新聞社など計11媒体が集まり、広く報道。その後の3か月間のメンバー募集期間には、20名以上の応募が寄せられ、選考を経てチームが発足した。2025年には、マレーシアのシニアeスポーツチームとの国際交流試合を開催し、ライブ配信は1万6000人が試聴するほど注目を集めた。また、近年はメディア露出の増加により、メンバーが日常生活の中で声をかけられることもあるほど、県内での認知度が高まっているという。

 


国際交流試合時には、Xにて、秋田県出身者と思われるフォロワーから
「信じられるかこれ… 地元なんだぜ? かっこよすぎるだろ」
といったコメントも寄せられたという

 

■展望:競技で成果を出し、シニアeスポーツの広がりをつくる

マタギスナイパーズでは今後、大きく2つの目標を掲げている。一つは、日々の練習や大会への出場を重ね、チームとしての競技レベルを高めること。競技で成果を上げることは、「マタギスナイパーズ」を事業として安定的に運営していくうえで重要だ。大会で結果を残すことでチームの認知度が高まり、スポンサーの獲得や継続的な支援にもつながる。もう一つは、活動の継続を通じて、「高齢者がeスポーツに取り組む」という選択肢そのものを地域内外へ広げていくこと。秋田県内にとどまらず、各地で同様のシニアチームが立ち上がる動きを後押しし、それぞれの地域を代表するチーム同士が競い合う環境づくりを進めることで、シニアのeスポーツ業界全体を盛り上げていくことを目指している。

 


マタギスナイパーズは、『VALORANT』の公式競技日本大会への
出場・優勝を目指している

 

取材者コメント(編集部 西村)

eスポーツがもたらす世代・地域を超えた交流。オンラインでの挑戦がシニアの活力となり、地域を元気にする

 

今回の取材では、お話を伺う前にチームの定例MTGに同席させていただきました。マタギスナイパーズを運営するエスツーのプレイスブランディング部部長の土門悠さんが、「今月のイベント遠征で新幹線を使うので、当日タッチのみで改札を通過できるよう、事前にICカードの登録をしたい人はいますか?」と問いかけると、「そんな便利なことができるの!」と、メンバーから明るい驚きの声が上がります。もともとデジタルに慣れていたわけではないメンバーが、いまはプロeスポーツチームの一員としてプレーしている。その挑戦が自然と垣間見えました。

 

その後も、過去のメディア掲載記事が世界向けに英語で配信されるという報告や、今後のスケジュールの共有など、アジェンダが次々と進んでいきます。そしてゲームや対戦の話題になると、メンバーの眼差しが一気に真剣に変わるのが伝わってきました。

 

 

取材を通じて強く感じたのは、皆さんがeスポーツを心から楽しみ、その存在が日々の活力になっているということ。「マタギスナイパーズとして活動していることを、家族や孫から誇りだと言われることもある」という声も上がりました。

 

メンバーのNAGIさんは、「私たちをもっと活用してもらいたい。地域の役に立てればうれしい」と語ります。そして「eスポーツは世界中どこからでも参加できる競技です。だからこそ、食べ物がおいしく自然も豊かな秋田に合宿所のような場があれば、県外の若者にも来てもらえるかもしれない」と話す姿は、前向きなエネルギーにあふれており、自分たちの今の立場から、もっと地元・秋田をよくしていきたいというシビックプライドにつながっていたのも印象的でした。

 

取材で最も驚いたのは、(“ゲーム起点のつながり方”では一般的ですが)本名や過去の経歴も含め、メンバーはお互いことを全く知らず、「NAGI」「アビィ」「mark25」といったハンドルネームで呼び合っていたこと。これは運営側の方針だそうですが、皆さん居心地が良さそうです。もしかしたら、定年退職などによって失ったコミュニティを新たな人たちと築こうとするとき、現役時代の肩書は余計な色眼鏡となってしまい、フラットな関係作りの邪魔になるのかもしれない。小さなことではありますが、シニア世代のコミュニティづくりの大きなヒントであるように感じました。

 

皆さんがプレイしている『VALORANT』というゲームは、国を問わず誰もが参加できる“場所の制約を超えた競技”であり、同時に、世代を超えて関心を持てる“年齢の制約を超えたコンテンツ”です。この二つの越境性が、地域に閉じがちな定年退職後のコミュニティを、地域、そして世代を超えて新しい形で結び直す役割を果たしていました。

 

新たな目標に挑み続けること。世代や国を超えた交流が生まれること。それが日々の活力につながっていること。そして、地域を超えて広がるオンラインのつながりと、シニアになってから出会った地域の仲間との、ゆるやかなリアルのつながり。ここには、これからの時代における新しいコミュニティの形が、たしかに存在していました。

    

\マタギスナイパーズからのメッセージ/

仕事を定年退職してから、こんなに楽しい毎日を送れるとは思いませんでした。自分が元気でいると、周りの友人や家族も「元気をもらえる」と言ってくれています。これからも私たちの活動にご注目いただき、eスポーツの魅力が少しでも伝われば嬉しいです!

▶公式X:https://x.com/matagisnipers/

▶公式HP:https://matagi-snps.com/

▶配信:https://www.twitch.tv/matagisnipers

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