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TOPTALK & INTERVIEW世界は最小単位から

2026.07.15

世界は最小単位から

海外視察プログラム『INNOVATOR‘S PASSPORT』にシビックプライド視点で参加して考えたこと
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今年も募集がスタートした海外視察プログラム『INNOVATOR‘S PASSPORT』(詳細はこちら)。当サイトでは、昨年(2025年)本プログラムに参加した当サイト編集長・小関による連載コラム「世界は最小単位から― 海外視察プログラム『INNOVATOR‘S PASSPORT』にシビックプライド視点で参加して考えたこと」をスタート(近日公開予定)。
日本全国47都道府県のローカルなシビックプライドを見つめてきたその目で、海外で何を感じ、何を持ち帰ってきたのか。全3回にわたる連載のプロローグとして、この旅に対して抱いていた思いや問いについて語る。

 

『INNOVATOR‘S PASSPORT』とは

デジタルテクノロジーを生かした創造的な街づくり、ウェルビーイングを実現する働き方と暮らし方、将来世代へつなぐサステナブルな経済、次世代がつくりだす新しいカルチャーなど、世界各地の「ソーシャルイノベーション」の最前線をリサーチしてきたYOMIKO・SIGNINGによるツアー・プログラム。(公式サイトはこちら

これまでに、スペイン・バルセロナ、イギリス・ロンドン、デンマーク・コペンハーゲンなどで開催実績があり、参加者のニーズに合わせて訪問先をコーディネートしている。

※本記事の内容は「2025年」の内容であり、プログラムの内容は年によって変わることがあります。

    • 小関 美南(こせき みなみ)
      CIVIC PRIDE®ポータルサイト編集長
      読売広告社に入社後、マーケティング部門でさまざまなカテゴリのコミュニケーション設計や新商品開発に携わったのち、都市生活研究所にてR&Dに従事。2023年の『CIVIC PRIDE®ポータルサイト』立ち上げ以来、編集長として全国各地を取材しながら、まちづくり関連のトークイベントや内閣府主催のセミナーなどに登壇し、シビックプライドを親しみやすく編集・発信している。現在は、研究や発信にとどまらず、シビックプライド・プロデューサーとしてプロダクト開発や様々な企業との共創プロジェクトの創出など、シビックプライドを社会実装するためのアクションに注力している。

      <関連プロジェクトリンク>

日本のシビックプライドを見てきた視点で、世界をあらためて見る

―『INNOVATOR‘S PASSPORT』(2025年)に参加した背景について聞かせてください。これまでは主に国内事例の取材や深掘りにフォーカスしていましたが、海外の取り組みに対してはどのように感じていましたか。

小関:このサイトが立ち上がってからの3年間は、「シビックプライド」という言葉や考え方を現場の生の声に翻訳しようと、とにかく日本全国の様々な現場に足を運び、地域の人たちに直接会って話を聞いてきました。
「日本と海外」という対立軸で捉えるつもりはありませんが、「シビックプライド」という言葉自体が海外で生まれたものなので、取材をしていても、「シビック」も「プライド」も“言葉の意味は分かるけど、実感を伴うにはワンクッション挟む”ような感覚があると感じていました。きちんとその人自身の感覚に引き寄せて捉え直さないと、シビックプライドが形骸化してしまうのではないか。その問題意識が、まずは徹底的に国内の現場に目を向けさせたのだと思います。
そうして3年かけて47都道府県すべての現場を巡ったことで、自分の中にある種の“感覚の土台”のようなものができました。同じ日本でも、まちによって、人によって、シビックプライドの輪郭の形も大きさも違う。でもまちは違っても、通底する共通項のようなものはわかる。その多様さを体感した今なら、海外の取り組みに触れても「文化が違うから」「国民性が違うからできることだよね」という結論に終始することなく、より解像度高く感じ取り、日本に持ち帰ってくることができそうだと思えたタイミングでの参加でした。

シビックプライド視点で見たコペンハーゲン

―2025年の訪問先は、デンマークの「コペンハーゲン」とスペインの「バルセロナ」の2都市でした。この2都市をシビックプライドの観点からどのように捉え、どのような点に期待して臨みましたか?

小関:コペンハーゲンは、以前このサイトでも取材した「Gehl Architects」(世界的な都市設計・デザインコンサルティング会社。*当時のインタビュー記事はこちら)が拠点を置く、“human scale(人間中心)”のまちづくりを実現している都市です。

駅前の自転車置き場ひとつにも、ヒューマンスケールのまちづくりの工夫が垣間見える。(ヒントは“すり鉢状”の地面。)自転車社会のコペンハーゲンならではの課題解決のアイデアが詰まっていた。

小関:ヒューマンスケールとは、一人ひとりの市民の目線に立つことに、徹底的にエネルギーを注ぐ姿勢の表れであると私は思います。また、事前にリサーチする中で「市民参加」や「デモクラシー」というキーワードが印象的で、これらはシビックプライドの根幹である“市民が当事者意識を持って主体的にまちをより良くしようとする”あり方に直結するテーマだと感じていました。コペンハーゲンを訪れた時期が四年に一度の選挙のタイミングにちょうど重なったことも、このテーマについて思考を深める後押しになりましたね。

コペンハーゲンの主な訪問先など
●「DAC」(デンマーク建築センター)
●「Gehl Architects」との勉強会・ディスカッション・フィールドワーク
●Democracy Garageでの勉強会・ディスカッション
●Thoravej29の視察・ディスカッション
●BLOX HUBでの勉強会・ディスカッション

シビックプライド視点で見たバルセロナ

小関:一方、バルセロナは、書籍『シビックプライド』でも紹介されている通り、20年以上前からアカデミアの先生たちにも注目されている都市です。近年は「スマートシティ」からさらに一歩進んだ「スマートシチズン」という新しいコンセプトを掲げ、市民の知恵や経験による「集合知」を、大規模な都市開発に活かす挑戦を続けています。
出発前に関連書籍を読んで特に驚いたのは、そのチャレンジの規模の大きさです。「この都市、元々はこんな場所だったの?!」とBefore/Afterの写真を見て愕然としました。そういった途方もない規模で変化を生み出すことを見据えたチャレンジを続けられる素地(たとえば制度や行政のあり方など)が日本とはそもそも違う、という論点も勿論あるにせよ、試行錯誤のプロセスには勇気づけられます。
たとえば、スーパーブロック構想に代表されるように、バルセロナは元々自動車道だった場所を歩行者空間に変えていく試みをずっと続けていますが、実際に現地を歩いていて興味深かったのは、(もちろん、場所や時間帯によって違いはあるものの)開発したその一角が必ずしも常に人が滞留して活気があるというわけではない、ということでした。最近歩行者空間に変わったばかりの場所なんかは、まだ、道の真ん中を歩く人の足並みがちょっとぎこちなかったりもして。その光景を見た瞬間、そうだよね、それでいいんだよねと妙に腑に落ちたんです。場が変われば歩行者がすぐに主人公になるかというと、そんなことはない。多かれ少なかれ、変化に適応する時間やプロセスは必ず生じるものだよなと。

元々自動車道だったエリアが次々と、歩く人・佇む人のためのエリアへ変貌していくバルセロナ市街。

小関:まちづくりにおいて実験的な試みをするとき、頭では「長い目で見なければ」と分かっていても、すぐに成果が出ないと焦りますし、完成された(かのように見える)成功事例を見て圧倒され、「自分たちには無理かも」と心が折れそうになることもあります。でも、世の中で“成功事例”や“注目事例”と言われるどんな取り組みにも、必ず“変化の途中”のぎこちない時間はある。よく考えれば当たり前なんですが、このリアルな光景を現地で目の当たりにできたからこそ、今なら確信をもってそう言えるなと思いました。

主な訪問先など
●Smart City Expo World Congress視察・個別取材
●バルセロナ市による講義・ディスカッション
●その他、バルセロナ市街地フィールドワーク ほか

世界を“最小単位”から捉え直すこと―旅を通じて得たテーマ

―旅全体を振り返って、今、どのようなキーワードやテーマが残っていますか。

小関:現地で度々耳にした・目にしたキーワードがいくつかあります。「デモクラシー」、「市民参加」、「信頼」、「透明性」――いずれも一度は必ず聞いたことがあるような概念的な言葉ですが、この旅は、そうした言葉や概念を、もう一度自分の身体感覚を通して捉え直すための時間だったように思います。異邦人になる、というのはある意味「分かったつもりにならない」モードに切り替えやすい状態でもあるので。
そして、これはこれから始まる連載のタイトルにも繋がるのですが、“最小単位で/最小単位を”考えることがいまの世界を考える上で大事なのだと、この旅を通してずっと自分に投げかけられていたように感じます。これから始まる連載ではその視点を軸に、旅での思考と発見にフォーカスしていきたいと考えています。

連載予定
世界は最小単位から

~海外視察プログラム『INNOVATOR‘S PASSPORT』にシビックプライド視点で参加して考えたこと〜

  • Vol.1:コペンハーゲンの「デモクラシー」・「市民参加」にフォーカス
  • Vol.2:コペンハーゲンの「共同食堂」の文化にフォーカス
  • Vol.3:「Smart City Expo World Congress(SCEWC) 2025」で印象的だった3つのキーワード

連載Vol.1では、コペンハーゲンで印象に残った「デモクラシー」や「市民参加」について考える。どうすれば私たちの日常に引き寄せて考えられるのか?

コペンハーゲン中心部にある公共空間のひとつ「Israels Plads(イスラエル広場)」にて。近隣の小学校の子どもたちが、昼休みに街中の公共空間にわらわらと集まってきて遊んでいる光景が新鮮に映った。近所の大人も階段に腰掛けてひと息ついている。大人も子どもも、同じ昼休みを過ごしている。

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