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TOPCIVIC PRIDE ACTION一覧「コミュニティ」としての商店街の価値を守る!持続可能な商店街に向けたビジョンとルールづくり

岡山県岡山市|2011年〜

「コミュニティ」としての商店街の価値を守る!持続可能な商店街に向けたビジョンとルールづくり

表町商店街/協同組合連合会岡山市表町商店街連盟
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■概要:商店街の役割を再定義し、コミュニティの価値を高める

岡山県内最大規模、250店舗以上が集まる表町(おもてちょう)商店街では、商店街の価値を「商業の集積地」から「コミュニティ」へと捉え直し、持続的な運営体制の構築を進めている。全長約1kmにわたって8つの商店街で構成される同商店街は、協同組合連合会岡山市表町商店街連盟が中心となり、地権者・出店者・地域住民・外部企業など多様な主体と協議を重ねながら活性化を推進。空き店舗についても、単なるテナント募集ではなく、新たに挑戦したい事業者や地域と関わりたい企業とのマッチングを積極的に進めている。

 


アーケードにはところどころにステンドグラスが用いられており、立ち止まって見上げるのも楽しい

 

■背景・経緯:消費行動の変化で、商店街機能が縮小

表町商店街は江戸時代から約400年続く歴史をもつが、近年は近隣駅前への大型商業施設の進出やインターネット通販の拡大などを背景にまちの人々の消費行動が変化し、人通りが次第に減少。そうしたなか、表町商店街の一つである中之町商店街で家業の衣料品店を営む片山進平さんは「このままでは商店街全体が縮小する」との危機感から、2010年、30歳で中之町商店街の理事長に就任した。各店舗への訪問と対話を重ね、空き店舗が生まれる背景や個別の事情を把握しながら、出店希望者とのマッチングを継続。加えて、2025年には表町商店街連盟の理事長にも就任し、エリア全体の活性化を主導している。

 


長年空き店舗を抱えていたスナックビルも、丁寧な働きかけを重ね、ビジョンに共感したテナントが集まった。現在は夜になると賑やかな声が響く

 

■実績:空き店舗の大幅改善と、良品計画として全国初となる出店モデルの実現

中之町商店街では、かつて全90店舗のうち10店舗前後が空き店舗だったが、継続的なマッチング活動を重ねた結果、現在はほぼ解消している。また、商店街連盟理事の若返りが進んだことで、意思決定から実行までのスピードも向上した。さらに、商店街連盟の活動に共感する企業との接点も広がり、良品計画は全国初の分散型出店という形で、2023年に無印良品を表町商店街内に2店舗同時開業した。また、地域おこし協力隊をはじめ、多様な立場の関係者によるイベントも開催されており、商店街の取り組みに外部人材や企業が参画できる機会が広がっている。

 


無印良品と老舗和菓子店との共同で作った商品。こし餡づくりの際に出る小豆の皮を染料の一部に使って「染めなおした 服(小豆)」は、一着ごとに風合いが異なる

 

■展望:「コミュニティを守る」をビジョンに掲げ、持続可能な商店街づくりを目指す

今後は、買い物の用事がなくても立ち寄りたくなるような、まち歩きそのものを楽しめる商店街を目指すとともに、表町商店街がこれまで築き上げてきたコミュニティを守るための取り組みを進める。その一環として、商店街全体で、店舗の所有・運営に関する責任や判断基準を明文化したルールの整備に着手している。あわせて、通行量や空室率などのデータも活用しながら、各店舗の売上向上およびエリア全体の価値向上につなげる施策も検討中だ。

 

良品計画は、空き店舗を活用した小規模出店を岡山・前橋の2地域で展開。各店舗の現場と共に商店街の活性化に取り組む(写真はソーシャルグッド事業部の工藤浩樹さん)

 

取材者コメント(祖父江

これからの表町商店街をつくる、情熱ある判断とルールづくり

 

東京から新幹線で約3時間。中国・四国エリア最大級のターミナルである岡山駅に到着しました。日本三大庭園のひとつ、岡山後楽園の方面を抜けて少し歩くと、大きなアーケードに覆われた表町商店街が見えてきます。

 

通りの両側には時計店や衣料品店といった昔ながらの店が並ぶ一方で、飲食店やカフェなどの新しい店も違和感なく溶け込んでいました。この商店街には、いわゆる大型の目玉施設があるわけではありませんが、「日常の人の動き」が確かにあることが感じ取れます。

 

取材でお話を伺った表町商店街連盟理事長の片山さんは、「理事長なら、もっと現場で汗をかくべきだ」と言われることがあると語ります。しかしご本人は、「リーダーの役目は、ブレインとして判断すること」と強調。そこで今、商店街では店舗を所有・運営するうえでの責任や指針となるルールづくりを進めているそうです。土地が空いたからといってすぐに駐車場にしないこと、価格だけで売買を判断しないこと。これまで暗黙の了解として共有されてきた考え方を明文化する。それが、400年続いてきた表町商店街という商業空間を守ることにつながると考えています。

 

もっとも、制度やルールを整え、空き店舗を埋めること自体が目的ではありません。片山さんが取り戻したいのは「かつて商店街に流れていた空気や、人の往来そのもの」だと言います。

 

不動産価値や地価を経済原理だけで測ろうとすると、商店街に宿る空気や、「コミュニティ」という目に見えない価値は換算されないまま、平米単価だけで評価されてしまいます。そうではなく、数字では測れない部分こそ重要だという前提に立ち、定量化しにくい価値を守る。そのために制度やルールを整えているという点に、新鮮な発見がありました。

 

片山さんや良品計画の方々と商店街を歩くと、多くの人から声をかけられていた姿も強く印象に残りました。また、道すがら案内してもらった、約20年前に閉店した食器店では、先日あらためて「閉店セール」が実施され、その際には片山さんご本人も清掃や片付けに加わったそう。構想やビジョンを語るだけでなく、実は足元の地道な作業にも手を動かしている。そうした姿を見ていると、地域の活動には、冷静さと熱量の両輪を回す必要性を痛感します。

 

片山さんご本人は、シビックプライドという言葉をあえて使うことはありませんでしたが、その言葉が指すものは、この商店街の中で確かに育っているように感じました。

まちインサイト5指標で見ると...

  • 指標アイコン
    無印良品による全国初の“分散型出店”、古着のポップアップイベントや「20年越しの閉店セール」開催など、新しい取り組みが次々と生まれている
  • 指標アイコン
    各店舗への「日々の訪問と丁寧な対話」を積み重ねることで“平米単価では測れない”商店街コミュニティの価値を育てた
    

\協同組合連合会岡山市表町商店街連盟理事長 片山進平さんからのメッセージ/

同じ商店街やまちで育っていても、関わり方や思い入れは人それぞれ。どんな体験をしてきたかによって、地域との距離感や関わるきっかけも変わってきます。実際にその場を歩き、人と話し、空気にふれてみることで見えてくるものがあると思いますので、ぜひみなさんも一度、表町商店街に足を運んでみてください!

▶おもてちょう商店街HP:https://omotecho.or.jp/

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