0123456789確認画面へ進む戻る送信する

TOPCIVIC PRIDE ACTION一覧空港職員が地域経済活性化のプロデューサーに?民営化で利用者数2倍、南紀白浜空港が目指す「地域に愛される」空港づくり

和歌山県西牟婁郡白浜町|2018年〜

空港職員が地域経済活性化のプロデューサーに?民営化で利用者数2倍、南紀白浜空港が目指す「地域に愛される」空港づくり

空港型地方創生/株式会社南紀白浜エアポート
4
いいね

■概要:空港主導で、地域への来訪と航空需要を生み出す

南紀白浜空港は、海水浴場やレジャー施設「アドベンチャーワールド」など、和歌山県内有数の観光地を抱える南部エリアに立地する、関西の玄関口となる空港。2019年度からは、民間資本100%の株式会社南紀白浜エアポートが運営している。
同社は、滑走路の管理や施設清掃といった基本的な空港業務に加え、旅行業免許の取得やDMO(観光地域づくり法人)の認定を通じて、和歌山県内への来訪需要を生み出す取り組みを展開している。
社内の「誘客・地域活性化室」が中心となり、自治体や企業と連携しながら、観光ツアーの企画やワーケーションの推進、人材の育成など、地域活性化につながる施策を実施している。

 


正式名称は南紀白浜空港だが、熊野古道などの世界遺産登録20周年を記念して、2024年より、公募で募集した愛称「熊野白浜リゾート空港」として呼ばれることとなった。
空港ラウンジは約75席と開放感のある広さで、机や電源なども完備されており、出発前や到着後に落ち着いて過ごせる環境が整っている。

 

■背景・経緯:民営化から始まった、空港起点の地方創生

1968年の開港以降、南紀白浜空港は県の管理下で長年運営されてきたが、厳しい収支状況が続いていた。状況の改善には、民間企業のノウハウ活用が不可欠との判断から、2019年度に公共施設の運営権を民間事業者へ委ねる「コンセッション方式」を導入。株式会社南紀白浜エアポートが運営を担う体制へ移行した。
民営化を機に、空港運営に携わるため東京から移住した同社の森重良太さんは、「空港の施設を磨くだけでは利用者は増えない。地域を訪れる理由そのものをつくらなければならない」と考え、地域活性化の専門部署「誘客・地域活性化室」を立ち上げ、室長に就任した。

 


森重さんは白浜町の夏の制服であるアロハシャツを着て、“年間300日の飲み会”を通じて地域の人と信頼関係を築き、新しい地方創生の形を模索し続けている。

 

■実績:200社・4,000件に及ぶ地域コーディネートを展開。空港利用者数は約2倍に

南紀白浜エアポートは、空港を起点に地域への来訪需要を創出するため、空港会社としては初めて旅行業免許や観光庁DMO認定を取得。自治体や地域企業、住民と連携しながら、現地ツアーなどの着地型旅行商品を自ら企画・提供している。さらに、米セールスフォース・ドットコムやNECソリューションイノベーターといった大手IT企業のサテライトオフィスが進出している地域において、新たな企業の誘致や関係人口の創出も推進し、「ワーケーションの聖地化」につなげた。
こうした協業を通じて、これまでに約200社と4,000件に及ぶ地域コーディネートの実績を積み重ねたことで、空港の年間利用者数は、民営化前のおよそ2倍にあたる24万人前後まで伸びている。同空港の実践とノウハウは全国的にも注目を集め、他の自治体や空港運営事業者からの視察や相談も相次いでいる。

 


空港パンフレットより。空港のそばにある一般利用も可能なワークスペースや、周辺ホテルの足湯しながらテレワークできるラウンジなど、白浜町内には空港を中心にワーケーションに適した環境が整っていることがわかる。

 

■展望:「南紀プライド」を掲げ、まちづくりを推進する

和歌山県では現在、人口減少が全国でも特に速いペースで進んでおり、減少率は全国ワースト3位。なかでも、空港が位置する南紀エリアには大学がなく、若年層の流出が続いている。こうした状況を受け、森重さんは、人口が減少しても豊かに暮らせる「世界に誇る南紀」の実現を掲げ、「南紀プライド」というビジョンを打ち出した。地域に愛される空港としての価値向上を図りながら、世界に誇れる観光地の育成、地域課題の解決につながるローカル産業の集積、住民自らが「最高」と思えるまちづくりの推進という、3つの柱で取り組みを進めていく方針だ。

 


次世代人材の育成を通して、「かっこいい大人を増やす」ことで、地元での可能性を体感させ、子どもたちが戻ってきたいと思える地域づくりを目指す。

 

取材者コメント(編集部 小関)

「まさか私がこんな挑戦をするなんて…!」が次々と。
地域の“主人公”を育てる空港職員

 

今回お話を伺ったのは、南紀白浜空港の職員として誘客・地域活性化室の室長を務める森重さん。森重さんは現在、「地域コーディネーター」としても全国を飛びまわり、南紀エリアの人・企業・場所をさまざまな形でつないでいます。コーディネーターというと「つなぐ」イメージが強いですが、森重さんの関わり方はそれだけにとどまりません。地元の若者たちと地域課題について議論を重ねたり、地元の人が本当におすすめしたい場所を巡る旅行ツアーを企画して商品化したり、関わる一人ひとりが地域で主体的に動けるような教育や環境づくりといった“地元の人自身が主人公になるための力をつけていくプロセス”を大切にしています。

 

常に軸にあるのは、「何をやるかよりも、誰がやるかが大事。地域活性化の取り組みは、地元の人こそが主役であるべき」という考え方です。「地元で輝ける、かっこいい大人を一人でも増やしたい。そういう人が増えることで、この地域にはもっと可能性があるんだと、実感してもらえると思うんです」と森重さんは話します。

 

実際に白浜町を歩いていると、偶然にもそういった“地元で自ら動き始めた人たち”に出会えました。海辺のコーヒースタンドのオーナーや、まちの小さな書店の店主、それぞれに話を聞いてみると、驚いたことに、同じような言葉が返ってきました。「まさか自分がお店を開くなんて、想像もしていなかった」「でも、ここでならできるかもしれないとも思ったんですよね」と。
地元の人たちが次々と、まちを動かす人になっていく。白浜町には、そんな気風がすでに育ちつつあることを肌で感じました。

 

そしてこの気風は、空港という場所の特性とも不思議と重なります。特に南紀白浜空港は、まちとの距離がとても近く、行こうと思えばいつでも新しい世界へ行けるし、いつでも帰ってくることができる。遠くの世界と日常とをシームレスにつないでくれる空港という存在は、単なる交通インフラという役割以上に、新しい世界へ一歩踏み出すことの決断や不安を軽くするという役割を地域の中で担っているのだと感じました。

 

南紀白浜には、空港という役割の特性を活かして、地元の人たちの可能性を広げて“まちを動かす人”へと育てるヒントが詰まっています。

 


コーヒースタンドを営むReikaさんは東京と和歌山の二拠点を中心に、複数の拠点で活動し、日常的に南紀白浜空港を利用している一人。

まちインサイト5指標で見ると...

  • 指標アイコン
    やりたいと思っていることを「こうやって実現しようよ!」と背中を押してくれる存在がいることで、地元の人が次々と“主人公”化。
    

\株式会社南紀白浜エアポート 森重良太さんからメッセージ/

僕は、「地域は人なり」を座右の銘に活動をしています。さまざまな方の力を借りながら、地域の人が思いを持って主体的に輝けるよう、これからも地域の人と誇りを中心に置いた地域活性化をこの南紀エリアで極めていきたいです!

▶株式会社南紀白浜エアポート:https://shirahama-airport.jp

JOIN US/ CIVIC PRIDE 編集部とつながる