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徳島県神山町|2023年~

ネイバーフッド概論/神山まるごと高専

「ネイバーフッド=隣人」同士で共創し、ローカルから社会を変える力を養う新しい学び
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■「神山まるごと高専」は2023年4月に開校した私立の高等専門学校。徳島県名西郡神山町に位置し、全寮制のもと、全国から集まった学生がテクノロジー、デザイン、起業家精神を学んでいる。

 

■目指す人物像として「モノをつくる力で、コトを起こす人」を掲げており、起業家精神を養う一環として、地域を理解し社会連携を行う「隣人と生きる力」の養成をするべく、1年次に「ネイバーフッド概論/演習」という授業群を設置。この授業では、様々な社会問題を学ぶだけではなく、それらの問題を、周囲を巻き込んで解決するためにはどんなプロセスが必要かという「社会と関わる力」を育み、「ローカルから社会状況を変える力を養う」ことを目的としている。

 

■学生一人ひとりが、実際に身の回りにある課題の解決方法を考え、実践するという「マイプロジェクト」に取り組み、その発表会では、地域住民の方々も交えて、成果について報告を行う。課外活動も盛んであり、部活動等がない代わりに、学生たちが自主的な活動・プロジェクトを企画し、授業後に各々が実践している。活動の範囲は、神山町内はもちろんのこと、徳島県内外、国外まで及ぶ。

 

 

取材者コメント 

「神山」という土壌が持つ「隣人と共に生きる力」が育んだ、学生たちの「神山に還元したい」という気持ち

 

徳島市内から西へ、車で約45分。神山町は周囲標高300~1500mの山々が連なる深い山あいに位置しています。町を東西に貫く鮎喰川(あくいがわ)のほとりに神山まるごと高専はあり、学生たちは元棚田の上に新設された校舎である「OFFICE」棟と、旧神山中学校をリノベーションした寮「HOME」棟の2棟を行き来しながら生活を送っています。

 

学生たちは、神山まるごと高専のカリキュラムやビジョンに惹かれて入学してきたものの、入学当初は、学生全員が地域住民との交流や地域貢献を意識していたわけではなかったそうです。しかし、ネイバーフッド概論の授業を受けたことに加え、課外活動やアルバイト等で地域の方々と触れ合うことで、「隣人と共に生きる」ことの意味を理解し始めているといいます。

 

例えば、服飾が好きだと語る1年生(2024年取材時)の増永さん。

課外活動で古着屋さんを開いたとき、まちの人たちが、自分の活動に対して快く耳を傾けてくれた姿に、「ネバフ」(ネイバーフッドの略)の存在を感じたと話してくれました。「まちの皆さんと関わっていく中で、とても温かさを感じて、あ、今『ネバフ』だ!という瞬間があって。1人ひとりが情熱を持っていて、いきいきしている、そんな大人の人たちが応援してくれる神山町が大好きになりました。」

 

「僕たちは恵まれていると思うんです」と語ってくれたのは、2年生(2024年取材時)の中本さん。

彼は、世界規模の国際ロボット競技会FRC(FIRST® Robotics Competition)本選への出場を目指す学生たちの競技チーム「Hanabi」に参画しながら、自身のスキルや知識を活かした小学生向けのプログラミング教室を主宰し、全国から小学生を招待しています。

「自分は都市部の出身で、地域問題にこれまで目を向けることがありませんでしたが、全国から集まる友人と話をして自分の境遇が恵まれていることを知りました。地域の小学生たちにプログラミングを教えているのも、自分たちの活動で地域のみなさんに還元したいという気持ちが生まれたからです」

 

もともと神山町では、何か新しいことを起こす人がいれば全力で応援する風土を活かし、いろいろな「コト」が起こりやすい土俵を常に作っておくこと、そして柔軟に様々な活動に夢中で取り組んでいる大人たちの姿を見せることで、若者世代のひとづくりをおこなっていく環境の醸成に取り組んでいました。

そのような環境で、地域共生論やコミュニティー論を専門とし、「ネイバーフッド概論/演習」の授業を受け持つ佐野准教授は、学生たちは、まさに神山町が望んでいたように成長しているといいます。

「ゆるやかにいろんなものを認め合いながら、頑張る人はみんな応援し合うという風土が神山町にあります。学生たちもみな、このまちにいるからこそ、神山町への思いを持って学びを得ているのだと思います。まちの生き方とみんなの生き方がシンクロしていますね。」

 

現在は、開校3年目、3年生までの在籍ですが、今後、5学年の学生たちが揃い、様々な活動を展開していったとき、神山まるごと高専は、学生たちは、そして神山町はどのような姿になっていくのか。そして、卒業生たちが、どう社会を変えていくのか、とても楽しみです。

 

 

▼ネイバーフッド概論授業担当(准教授)佐野淳也さん

 

▼ネイバーフッド概論の授業の目的について説明してくださる佐野さん

 

▼大人たちの姿勢にインタビュー内にも出てくる「ネバフ」を感じたという増永さん

 

▼「僕たちは恵まれている」と語ってくれた中本さん

 

▼ネイバーフッド概論授業風景~まちのキーパーソンである大南信也さんと対話の時間

 

▼ネイバーフッド概論授業風景~町のモノづくり工房がなぜ出来たのかを聞く

 

▼ネイバーフッド概論授業風景~宿を経営する町民の方と周辺を散策

 

▼ネイバーフッド概論授業風景~障害を持ちながら働く社会人の方を招いてのコラボ授業

 

▼インタビューにご協力いただいた学生の皆さん

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