■「ビックリマン」といえば、発売から50年近く人気を博しているおまけシール付きのお菓子。思わず集めたくなるシールのために、「ビックリマン」をたくさん買った思い出を持つ人も多い。地方創生ビックリマンとは、そんな「思わず集めたくなる」という商品が持つ力を地域活性化につなげられないかと始まったプロジェクト。第1弾は滋賀県東近江市、第2弾は鳥取県境港市にて実施され、ともに大きな反響を呼び自治体関係者などから注目を集めている。
■第3弾の舞台は滋賀県の道の駅。県内の道の駅を周遊して買い物をすると、そこでしか手に入らない(滋賀県の名産品や観光スポットとコラボレーションした)オリジナルイラストのビックリマンBIGシールを1枚プレゼントされるという企画。シールの種類は4種類。県内を4つのエリアに分け、もらえるシールがエリアによって変わるため、全シールを集めるためには滋賀全域を巡る必要があるという仕掛けだ。
■参加者が楽しみながら、コレクションする感覚で滋賀の魅力に触れられる機会を創出したいという思いが込められたこの企画は、キャンペーンPR大使の協力やクラウドファンディングの実施・キャンペーン協賛社の募集企画など、事前の段階から多くの関係者を巻き込むプロセスを経ることでプロジェクトの仲間を増やし、話題化に成功した。
自治体職員の熱量と、企業のビジネス視点との融合で生まれた「三方よし」の地方創生プロジェクト
国内で唯一、「ビックリマンチョコ」を製造しているロッテ滋賀工場。その工場がある滋賀県とコラボした「道の駅滋賀周遊キャンペーン」。一見よくある「人気コンテンツと地元自治体のコラボレーションキャンペーンという構図でとらえることもできますが、実はこのプロジェクトには、自治体と企業が協働して行う地域活性化を成功させるためのヒントがつまっています。
最初は、滋賀県道の駅連絡会事務局を担う大津市役所の杉本さん・前田さん二人の、地元への想いや熱量から始まったプロジェクトでした。予算があまりない中スタートし、話題化のための人気芸能人へのコラボレーションシール作成オファー。クラウドファンディングの実施や協賛社集め……地方創生プロモーションを実施する際誰もがぶつかる障壁の数々を、何とか乗り越える日々……。
そんな二人を支えたのがビックリマンのブランドを管理する株式会社ロッテ マーケティング本部の本原さんでした。本原さんのプロジェクトに対する姿勢は明快です。それは「お金を循環させることが、本質的な地方創生につながる」ということ。そのビジネスに徹する姿勢と大津市役所の二人の熱量が融合することで、このプロジェクトはどんどん活性化しました。結果、クラウドファンディングでは当初目標の3倍に迫る支援が集まり、多くの協賛社も加わってキャンペーン実施に至りました。
地方創生には、地元を思う熱量は欠かせません。ただ、その思いだけでは越えられない「お金の壁」があることも事実です。そこにビジネスのプロである企業の知見や経験が活きてきます。「お金を循環させる」という徹底した本原さんのビジネス視点には、地域活性化成功の鍵が隠されていると感じました。
また、たくさんのメディアで取り上げられたり、参加者で道の駅がにぎわったりしたことに加え、ロッテの滋賀工場の社員たちも好影響があったそうです。
普段接することのないビックリマンのファンや地元住民の方々が楽しんでキャンペーンに参加している姿をみて、自身の製造する商品や滋賀工場で働くことの誇りにつながっていったということでした。滋賀県のシビックプライドを育てるプロジェクトが、働く会社へのプライドを育てることにもつながるという、自治体と企業の幸福なコラボレーションの姿がここにはありました。
大津市役所の二人の熱い思いから協力の輪が広がり、道の駅、地元企業、住民、それぞれの喜びにつながっていく。近江商人が生まれたこの滋賀の地のまさに「三方よし」の事例です。
▼キャンペーンチラシ
▼道の駅周遊マップ
▼各エリアの魅力を詰め込んだオリジナルシールデザイン
▼道の駅「妹子の郷」の入り口看板
▼実際に道の駅でシールをゲットした人に遭遇!