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2024.05.16

Vol.1 街について知っていること、いくつありますか?

リサーチャー顔写真
RESEARCHER
関 紀和
7
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  • 関 紀和
    都市生活研究所 リサーチディレクター
    2017年よりシビックプライド関連の調査を担当。まだ幼い息子のライフスタイル・行動を尊重し合わせたところ、東京近郊の電車移動&駅巡りが休日の活動に。訪れた駅構内から出ることはできず街探訪もさせてくれないが、その駅空間だけでもその街ならではの空気感が感じられたり、発見や面白味があると思うようになってきたりしている。

2023年12月に公開されたヨーロッパ、アメリカ、アジアにおける主要都市に居住する市民を対象にした「グローバル・シビックプライド調査」(詳細はこちら)。ここでは、調査を担当したリサーチャーが自分の“推しデータ”とともに、調査を通して“個人的に”感じたことや考えたことを語ります。
第1弾は、シビックプライド調査を長年担当しているリサーチャー関が担当します! リサーチャー自身の視点であらためて調査を見てみると…?

どう感じる?日本のシビックプライドの低さ

世界10都市のシビックプライドのスコアはもうチェック済みでしょうか?
今回初めて実施した「グローバル・シビックプライド調査」で、世界の都市と日本の都市のシビックプライドを比較してみましたが、東京・大阪のスコアについてどのように感じますか。

私自身、現在東京に居住していますが、結果を見て率直に思ったのは、「そうだよね」という気持ちです。それは他の海外都市と比べて低いということもそうですが、それ以上に日本の都市のスコア自体が自分の気持ちととても近いものでした。

このシビックプライド調査での評価では、
●メイン3指標:住んでいる街に対して「愛着がある」「共感がある」「誇りがある」
 +
●サブ2指標:「今後も住み続けたい(継続居住意向)」「他の人にもこの街を勧めたい(他者推奨意向)」の5つの指標で聴取していますが、東京は「愛着がある」にあてはまるとした人が6割くらい、そのなかでも「非常にあてはまる」と回答したのは約1割でした。

また、「誇り」は「愛着」よりも、そのワードのもつ印象・意味合いからも、多くの日本人にとって評価をつけづらくなる(あまり高い評価をつけない)と思いますが、やはりその通りで「愛着」よりもさらに低いスコアとなり、東京、大阪ともに、あてはまるとした人が5割前後、非常にあてはまるとした人は1割未満です。

私自身も「自分の住んでいる東京を愛してますか?誇れますか?」とか聞かれたとして、『非常にそう思います!』と答える姿はあまり想像がつきません。もちろん嫌いなわけではありませんが、どこかそのような評価をする以前に、住む街(都市)に自分との関係性自体をあまり感じない、というのが正直な感覚かもしれません。

「共感」が低い日本――そもそも「街への共感」ってなに?

一方、海外との比較という視点で気になったのが「街(のあり方)への共感」です。「共感」は「愛着」や「誇り」とは少し異なり、市民側が一方的に街に対する感情的・気分的な評価を下すというより、街側・街自体になにか人格のようなものがあって、それについてあなた(市民)はどう思うか、と問われているような感じの問いです。この「共感」が、海外8都市と比べて大きな差がみられています。 どうしてここまで「共感」に差があるのでしょうか?

「共感」は、“その街を知る”ことからはじまる

「共感」が“街側・街自体になにか人格のようなものがあって、それについてあなた(市民)はどう思うかーー”というものであれば、その対象(街)をよく知る・理解することが前提になります。今回、『自分の住む街にあてはまると思うもの(街の環境・施設・文化・行政など)』について約50項目で聴取したところ、日本の2都市は平均6.9個の選択数に対して、海外8都市は22.0個と大きな差があることがわかりました。これは日本の都市の特徴が極端に少ないと考えるよりも、特徴があるにも関わらず、いまいち認識されていない、というように捉えた方が妥当かと思います。

ひょっとしたらさきほど自分が街との関係性自体を感じないと思ったのは、この共感の前提となる「住む街への理解」の低さが原因かもしれません。長い間東京に住んでいながらも「東京はどんな特徴を持った都市か?」と聞かれると、「都会で・・便利で・・・」というとてもステレオタイプなことしかすぐには出てこなさそうです。

また、ここでもうひとつ気になるのが、いま最初に思い浮かんだ2つのワード「都会で・・便利で・・」についてです。便利であることは、住みやすさや住み心地の良さにつながり、人が暮らしていくにあたって重要なファクターです。もちろん“静かで何もない場所がいい”や“不便だからこそ得られる幸せ”といった考えもありますが、街の機能としてのスペックの高さが、マイナスになることはあまりないかと思います。

東京、大阪は、世界でみても、趣味・学び・健康・医療・仕事、といった暮らしの活動にアクセスしやすく、この利便性がもたらす住みやすさは、「街への共感」をはじめ、「愛着」や「誇り」といったシビックプライドをもっと生んでもよいと思うのですが・・・。

というわけで、次回Vol.2では「住み心地が良いだけではシビックプライドは育たないのか?」についてさらに考えていきたいと思います。

■ご興味ある方に、調査の詳細結果や、海外8都市に住むリサーチャーが現地の暮らす住民として感じるシビックプライド(インタビューコメント)について掲載した『グローバルシビックプライド調査レポート』をPDFファイルにてご提供しています。 レポートご希望の方は「CONTACT」からお問合せください。

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