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八木 日花里CIVIC PRIDE ポータル編集部シビックプライドポータル編集部として企画・編集・取材執筆を担当。鼻が敏感なことをきっかけに香りに興味を持ち、昨年アロマテラピーの資格を取得。最近はフレグランスのにおいを嗅いで、成分表示で香りの答え合わせをするのにハマっている。(たまにしか正解しない)
最後の晩餐は「お味噌汁」と決めているくらいにお味噌汁が好き。
無意識にやってしまう“におい”合わせ
鼻が敏感なのか、私は日ごろから「今すれ違った人の香り、○○さんと同じ柔軟剤だ!」「このお店の香り、絶対○○と同じフレグランス!」と、ふと感じたにおいと、過去に経験した知っているにおいを無意識に結び付けてしまう。最近印象に残っているのが、編集部の先輩と都内のカフェに入ったときに「あ!」と気づいたにおい。深呼吸したくなるヒノキの香りが店内いっぱいに広がっていることを感じた瞬間、「このカフェ、高山駅と同じにおいしませんか?」と思わず先輩に言ってしまった。私の中で一気に結びついたのが、取材で訪れた岐阜県JR高山駅の駅舎のにおい。森の中で木に包まれているような心地よさを身体全身で感じたのは、あの高山駅だったなと思い出した。
においと結びつく、まちの印象
調べてみると、JR高山駅は2016年に新駅舎が建設され、「木の国・飛騨高山」を表現するために内装に飛騨産のヒノキを使用しているそう。初めて高山に降り立った時、改札を出た瞬間フワッと香るヒノキのにおいによって「(仕事だけど)旅に来た~!」という非日常を感じながら「高山は木が有名なんだな」と新たなまちの顔に出会ったような気分だった。きっと高山市民にとっては、このヒノキのにおいが「ただいま~(地元に帰ってきた)」という気持ちにさせるのかなと想像しながら、まちとにおいの結びつきは強いんだなと感じた。
旅行に行くと、ソースのにおいをかいで「あ~、大阪きたな~」と思ったり、温泉のにおいを感じて「箱根だ~!」と思ったり、その地域や観光名所の特徴的なにおいを感じるけど、地元に戻ったときに「帰ってきた~」と落ち着くにおいがあるのも不思議。いつもは地元のにおいを気にかけたこともなくて、「○○のにおいと似てる!」と結びつけたこともないけど、私の中で「落ち着くにおい」があるんだと思う。
私のまちはどういうにおい?
そんなことを思いながら、インターネットやSNSで私の地元である神奈川県川崎市のにおいを調べてみた。「川崎市 におい」と検索すると、SNSではまちのにおいの投稿が少なく、あまりにおいについてのコメントは見られなかった。まちのにおいってあまり敏感にならないものなのかな…と思いつつ、インターネット検索をすると、一番初めにどーんと表示されたのが「川崎市:悪臭情報」。まちの悪臭報告件数やその対策情報が載っていたけど、パッと「悪臭情報」の文字を見ると、んんん?悪臭?くさい?と少しへこんだ。いざ悪臭と言われると「そんなに臭くないよ(笑)」と悔しい気持ちも出てきて、他のまちも調べてみることに。
個人的には、まちによって違うにおいの情報がいろいろ出てくると思っていたが、川崎市と同じように「悪臭情報」がほとんど。私はまちを歩きながら「ここはいいにおい、ここはにおいが気になる…」と思ってしまうタイプなので、まちのにおいってあまり話題になっていないんだなと驚いた。まだ言葉にできていないけれど、私が地元で感じている「落ち着くにおい」ってどういうにおいだろうか。その正体がだんだん知りたくなってきた。よし、「川崎のにおい」をあらためて嗅ぎに行こう。まちを嗅ぎまわるのは想像すると笑えてくるけど、次回はくんくん嗅ぎまわった「川崎のにおい」を言葉にしてみたいと思う。
(文:八木)