\KITOプロジェクトマネージャー 井上さんからのメッセージ/
「PASSIONとLOVE」が「PAL」。そんな私たちパルグループの姿勢のもと、たくさんの人たちの想いを詰め込んだのがKITOです。コンセプトの「木と共に、きっと出会える」には、ここに来れば何か素敵なことに出会えるよ、というメッセージを込めています。ぜひ一度足を運んで、下市町の魅力との出会いを楽しんでください!
▶KITO FOREST MARKET SHIMOICHI:https://kito-shimoichi.jp/
■概要:創業者の出身地で、企業の強みを活かした地方創生に挑戦
奈良県下市町(しもいちちょう)の「KITO FOREST MARKET SHIMOICHI」は、「3COINS」「CIAOPANIC TYPY」「OLIVE des OLIVE」など、多数の雑貨・アパレルブランドを手がける株式会社パルグループホールディングスが立ち上げた複合施設。下市町は、創業者の出身地というゆかりの地であり、KITOは地方創生を目的に誕生した。土地の9割を山林が占める土地柄を反映した、「木と共に、きっと出会える」をコンセプトに掲げ、建物は廃校となった小学校の校舎・体育館をリノベーション。校舎には地元の農産品を使用したレストラン&カフェやマルシェ、地元特産の木材を使った工芸作品などを置くショップ、またイベントスペースとレンタルオフィスを設置し、体育館はキッズスペースとして開放している。地域らしい魅力がしっかりと伝わるよう、同社が雑貨・アパレル事業で培ったノウハウを活かして、商品デザインや陳列などあらゆる面に工夫を凝らした。こうした同社ならではの「キャッチー(=人の心をつかむ)」な情報発信により、地元内外からの高い人気を得ている。

オリジナル商品などを通し、施設および下市町のブランディングにつなげている
■背景・経緯:まちの活気を取り戻し、廃校を「旅の目的地」へ
構想の開始は2022年。翌年の創業50周年に向けて、「より深く根づいた地域貢献活動を行いたい」という機運が社内で高まっていた。そんな中、パルグループホールディングスの創業者の孫である、同社経営企画室の井上真央(まなか)さんは、下市町が廃校予定の小学校の賃貸借事業者を募集中だと知る。思い入れ深い下市町の活気が失われつつあることを以前から懸念していた井上さんは、さっそく小学校の利活用をプロジェクト化。町民との間でディスカッションを重ねた結果、地元住民の暮らしを充実させるとともに、地域外の人たちにとっては「旅の目的地」となるような、下市町ならではの魅力を持った複合施設とすることに決めた。

「帰省中にすごくかわいい建物を見つけたんです」と小学校を見つけた当時を振り返る井上さん
■実績:3か月で4万人を集客し、にぎわいが地域へと広がる
地域にとって意義ある事業でも、安定した収益がなければ継続性は担保されない。そんな考えから、KITOではビジネス視点を重視。ターゲティングやコンセプト設計、商品開発、運営などに、雑貨・アパレルの企画から小売りまでを展開する同社のノウハウを注ぎ込んだ。その結果、地域内外から多くの人が訪れる人気スポットとなり、オープン当初に目標としていた年間来館者数4万人を、オープンからわずか3か月で達成。施設自体のにぎわいはもとより、木材・薬草・果実など自然の恵みが根づく暮らし、また伝統工芸である木工をはじめとしたクリエイティビティあふれる風土など、地域の魅力を再発見することにつながっている。さらには、地元の林業会社が林業の拠点施設をつくる動きが現れたり、町が「下市町賑わい創出協議会」を立ち上げたりと、まち全体に波及効果が生まれているという。

バス停の名前に「KITO」の名前がつくのも、行政との結びつきがあってこそ
■展望: 地域でのビジネスを通じて、会社への愛着を育てる
今後KITOでは、地域の魅力を結びつけるハブとして、質の高い顧客体験を追求していく。同時に、住民が自らにぎわいを生み出す動きを後押ししながら、エリア全体での滞在体験を充実させていく考えだ。一方、パルグループ全体としては、創業者ゆかりの地との関わりを通じて、下市町だけではなく会社に対する社員の愛着とサステナビリティ意識の醸成を図る。また、アパレル・雑貨販売とは異なるKITOでの業務を、社員のキャリア形成につなげるべく、各事業部やブランドとの人材交流の制度設立を目指す。

KITOから、地域と、そして社員のシビックプライドを育んでいく
取材者コメント(編集部 八木)
ロジックと余白が生む“主人公体験”が、シビックプライドを育む
大阪市内から電車とバスを乗り継いで約2時間。都会の喧騒からは打って変わって、落ち着いた時間が流れる山間のまち・奈良県下市町に、KITOはありました。
井上さんへのインタビュー前、KITO内を歩いてみると、並んでいるのは下市町ならではの木材、薬草、果実などを使ったオリジナル商品。どれもおしゃれでかわいらしく、陳列も思わず目を惹くようになっているので、あっという間にお買い物モードに火がついてしまっていました。
その理由は、「ここにしかないもの」という限定感があるのはもちろん、もし東京にあっても通ってしまうだろうな、と感じるほどに、商品や空間も魅力的につくりこまれているからです。
それは、パルグループホールディングスが、ほかの事業と同様に、ビジネスとして本気でKITOの、そして下市町のブランドづくりに臨んでいるからこそ生まれる魅力なのだと思います。実際に、「社会貢献とビジネスの両立が重要」と言う井上さんは、いかにKITOをつくり上げていったのかを、とてもロジカルに整理された、ビジネス視点の言葉で語ってくれました。
その一方で、KITOの魅力はロジックだけでは語れません。KITOに関わるプロジェクトメンバーや、スタッフ、地域の方々が、それぞれの「好きなこと」や「楽しみ」を反映できる余白を持たせていることも伝わってきました。それによって、KITOで働く人や関わる人が自己実現や自己表現といった〝主人公体験″を得られる。ただ、おしゃれな「ハコ」ができるだけでは生み出せない、この体験が、楽しい記憶となり、やがてシビックプライドが育っていくのだと思います。
