0123456789確認画面へ進む戻る送信する

TOPCIVIC PRIDE ACTION一覧ICTを活用した廃校跡地の陸上養殖/紅仁株式会社・株式会社NTTアクア 

沖縄県国頭郡大宜味村|2017年〜

ICTを活用した廃校跡地の陸上養殖/紅仁株式会社・株式会社NTTアクア 

国内最先端の陸上養殖システムを起点とした新たな地方創生の一手
3
いいね

■概要:沖縄の食文化と養殖技術、美しい海の継承を目指して

紅仁株式会社とNTTグループの株式会社NTTアクアは、沖縄本島北部に位置する国頭郡大宜味村(おおぎみそん)で、廃校となった旧津波(つは)小学校の校舎と敷地を活用して、国内最先端の陸上養殖と、ICTを駆使した陸上養殖システムの標準化と普及に取り組んでいる。また、沖縄の「三大高級魚」の一つで、赤い体色から縁起が良いとされる「アカジンミーバイ(スジアラ)」の赤色化に国内で初めて成功し、その種苗となる稚魚の繁殖を行うなど、地域の食文化と技術、そして沖縄を象徴する美しい海を次世代に継承することを目指している。

 



かつての校庭に整備された陸上養殖場には60台もの水槽が並ぶ

 

■背景・経緯:地元の魚を地元の人々が当たり前に食べられるように

全国的に気候変動による漁獲量の減少や魚種の変化が叫ばれる中、沖縄においても近年は温暖化に加え、赤潮や軽石の漂着などによる漁業不振が課題となってきた。そうした中、世界有数の魚の種苗生産国である台湾などでの養殖の知識と経験を持ち、沖縄に移住して20年以上となる紅仁代表の後藤徳彦さんが、養殖では実現が難しいとされてきたアカジンミーバイの赤色化に成功。希少かつ多くが県外や海外に卸されるために地元住民でも食べる機会がほとんどないアカジンミーバイを、地元で当たり前に食べられるようにしたいという思いから事業化した。その後、ビジネスの創出による地域活性化への貢献を模索していたNTTアクアが紅仁の思いに共感し、陸上養殖システムの標準化と全国への普及へICT技術の活用で協力することとなった。

 


NTTアクアのICT技術を活用して
水槽内の一匹一匹の魚をモニタリングしている

 

■実績:開かれた養殖場で育む地域とのつながり

事業化のきっかけとなったアカジンミーバイで約30万匹の種苗生産ができる施設が整備されたことに加え、その他の養殖魚種の拡大が進んでいるほか、養殖魚を活用した干物などの加工品の開発にも着手。一部成魚まで育てたアーラミーバイを地元のお祭りや学校給食で提供することで、食文化の継承にも取り組んでいる。また、NTTアクアのICT技術によりいわゆる“職人の勘”を数値化できつつあり、独自の陸上養殖システムの標準化と普及に向けたオールインワンのモデル設備も開発。施設では、地域の小中学校の社会科見学の受け入れや、沖縄水産高校のインターンシップの受け入れによって、地元産業への誇りの醸成と将来の担い手育成にも繋げている。さらに、飼育水を活用して地元漁業者から譲り受けた海ブドウの栽培でも成果を上げるなど、陸上養殖を核とした地元漁業者との共存や地域とのつながりを図っている。

 


施設内には調理室もあり、
養殖魚を活用した加工品の開発などにも取り組んでいる

 

■展望:アカジンミーバイのブランド化でさらに地域への還元を

大宜味村は、年間300万人が訪れる辺戸岬への道中にありながら、現在はただ通過するだけの場所にとどまっているが、アカジンミーバイのブランド化によって立ち寄るべきスポットへと育て、経済的にも文化的にもさらに地域への還元を強化していく。また、陸上養殖システムの標準化により、養殖の経験がまったくない人が、明日からでも始められる「誰もが参加できる陸上養殖」を全国に広めることで、国内各地の漁業課題の解決を進めていくことに加え、高度な濾過システムを応用して海洋環境を再現する全天候型の「陸上の海」を作る構想も始めており、産業と観光の両輪で地域活性化に貢献していくことを目指す。

 


「誰もが参加できる陸上養殖」の普及へ共同開発した
コンテナ型の小規模養殖施設のモデル

 

取材者コメント(編集部 山下)

「思いの強さ」だけで終わらない
「関係性づくり」と「トライ&ベター精神」

 

地域活性化の現場を取材させていただく時、いつも真っ先に感じるのは、実践している方々の「思いの強さ」です。それがないと活性化の施策がうまく進まないことは多くあります。ですが、「思いは強いのに、うまくいかない・実績につながらない」ケースもたくさんあります。では、「思い」が「実績」につながるためには、どうすればいいか。そんな悩みに対する”二つのヒント”が今回の取材で見えた気がしました。

 

まずは「関係性づくり」。

 

紅仁とNTTアクアの皆さんが取材中に話していた「まるで恋人みたいによく長電話をして、夢を語り合っているんです」「しばらく電話がないと寂しくなるくらい(笑)」という言葉に表されるように、とにかくたくさんコミュニケーションをとること。何でも言い合うこと。同じ夢を共有しているという安心感によって、そこに遠慮も不安もないコミュニケーションが生まれていました。

 

もともと歩んできたキャリアは一人ひとり全く異なるにもかかわらず、どの人がどちらの社員なのか見分けがつかなくなるほどの一体化。それはそうしたコミュニケーションによって、「第二の家族のような」関係性が作られているからこそなのだと感じました。

 

そして、その関係性があってこその「トライ&ベター精神」。よく「トライ&エラーで、失敗を恐れずに挑戦」などと言われますが、今回取材した皆さんからは「失敗を歓迎する」ほどの心意気を感じたのです。

 


紅仁のTシャツには「やってみよう!!」
という合言葉が書かれている

 

まだ誰もやったことのないことだからこそ、失敗すら「より良くしていくための糧」になる。この精神を共有していればこそ、どんな突飛なアイデアでも「どう思う?」「やってみようか」とすぐさまアクションにつながっていくのです。

 

この二つのヒントが、全国各地にいる「思いを持ちながら、どうすればいいか悩んでいる方々」に届いてほしい。そして、今回取材をしながら何度も「羨ましいなあ」と感じた、「第二の家族のような」仲間を作ってほしいと思いました。

    

\紅仁株式会社代表取締役 後藤徳彦さんからメッセージ/

何かに挑戦する時、失敗するか成功するかは、失敗したところでやめるか、成功するまで続けるかの違いでしかないと思っています。子どもの頃に何にでもなれる気がしていたように、夢を持って諦めずに進むのが何よりも大事で、夢を本気で追いかけていれば自然と共感してくれる仲間は現れるものです。それに、仮に失敗しても笑ってくれる仲間が多ければ、楽しいはず。ぜひ、皆さんも仲間と一緒に本気で夢を追いかけましょう!

▶紅仁株式会社:https://akajin.info/

▶株式会社NTTアクア:https://www.ntt-aqua.com/

JOIN US/ CIVIC PRIDE 編集部とつながる