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TOPCIVIC PRIDE ACTION一覧発酵バレーNAGANO/一般社団法人発酵バレーNAGANO

長野県|2023年〜

発酵バレーNAGANO/一般社団法人発酵バレーNAGANO

「長野といえば発酵食」を世界に発信!“余白”のあるコンソーシアムが、人、業界、地域を育てる
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■概要:「長野の発酵食」を世界に向けて発信~ブランド化するために

発酵バレーNAGANOは、長野県内の8つの発酵食品団体・企業を中心に、計318社(2025年12月時点)が加盟するコンソーシアム。長野県が誇る発酵食品の特徴や魅力を国内外へ発信し、「NAGANOといえば、発酵・長寿県」というブランドの構築を目指し、多様な活動を展開する。主には、味噌や醤油、麹や漬物などの発酵食品に関する研究や商品開発、PR活動などを実施。地域企業の参画だけでなく、農林水産省や信州大学との連携や老舗企業の若旦那や若女将らが「ミライクリエーター」として参画するなど、発酵をテーマに枠組みや世代、立場を越えた協働が生まれている。

 


2025年11月に開催された「発酵バレーNAGANO 2周年フォーラム」では、
「困ったことを持ち寄り、知恵を出し合うことで地域を元気にしていく」という、
コンソーシアムが目指す姿勢が共有された。

 

■背景・課題:危機感と課題の共有から始まった、長野県内の発酵食品業界の連携

長野県は、味噌の生産量が全国1位、日本酒の蔵元数も全国2位を誇るなど、発酵食品・飲料の生産が盛んな地域。一方で近年は、少子高齢化や食の多様化を背景に、発酵食品全体の消費が減少傾向にあった。また、地域の老舗企業を継いだ若い経営者からは、長い歴史に根ざした業界の慣習や世代間の価値観の違いから、新たな施策を打ち出しにくいという声が上がるようになっていた。さらにコロナ禍に入ると、外食需要の落ち込みなどを背景に、廃業に追い込まれる老舗企業も増加。こうした環境の変化に強い危機感を抱いた、長野県の発酵食品産業8団体・企業の代表たちが「課題をともに乗り越える場」をつくるべく、2023年に発酵バレーNAGANOが発足した。

 


1902年創業の信州味噌老舗・酢屋亀本店4代目の青木茂太さんは、
「発酵バレーはいち民間企業の事業ではないからこそ、
目先の利益に捉われずに地域の発展を目指すことができる」と語る。

 

■実績:海外展開・観光需要・商品開発の3軸で広がる、発酵バレーNAGANOの取り組み

発酵バレーNAGANOでは、発酵食品の海外販路拡大、観光振興、商品開発の3つを柱として、様々な活動を行っている。海外では、北米での販売レセプションの実施や、国際発酵・醸造食品産業展への参加を通じて、コンソーシアム加盟企業のPRや販路の開拓を進めてきた。観光分野では、長野県内を走るしなの鉄道の観光列車を活用し、食事付きの特別号を運行。さらに軽井沢のホテルでは「発酵ディナーコース」を提供するなど、発酵食品と観光を組み合わせた様々な施策を実施している。そして商品開発では、2025年8月にセブン‐イレブンと共同で発酵文化の魅力を活かした商品を複数開発し、県内外のセブン‐イレブン657店舗で販売し、好評を博した。

 


「地域の食文化の継承」をテーマに自治体やセブン‐イレブンと連携。
セブン-イレブンが長年販売してきた、長野県内発の学校給食メニューをモチーフとした
たくあん入りのチャーハン「キムたくチャーハン」に、発酵の要素「糀甘酒」を加えた。

 

■展望:発酵に関わる人の輪を広げ、共に文化を育てる

発酵バレーNAGANOは、新たな市場の開拓や事業開発を進める一方で、短期的な成果の創出にとらわれることなく、長野の発酵文化を次世代につないでいくための土壌づくりを重視している。今後は、地元の学生とともに発酵食品工場の見学や食文化の探究を目的にした地域散策に取り組むほか、オンラインを活用した蔵めぐりや製造工程の可視化など、開かれた「継承の場」づくりに力を注いでいく考えだ。こうした活動を通じて、「地域の食文化の継承と進化=新たな文化醸成」に関与する人の裾野を広げることを目指している。

 


老舗麹屋・西麹屋本舗の西澤真澄さんは「次の世代に何を残せるか」を起点に、
新ブランドの展開や麹の量り売りなど、今の暮らしに合った発酵食品の提案を進めている。

 
 

取材者コメント (編集部 城)

発酵バレーNAGANOの現在地から、 “民間発のボトムアップ型”コンソーシアムを考える

 

今回の取材では、「発酵バレーNAGANO 2周年フォーラム」をはじめ、ミライクリエーターや発酵食品の生産に携わる地元企業の方々など、たくさんの方々からコンソーシアムの活動について話を伺いました。

 

一般的に、コンソーシアムという枠組みは関係者が多いゆえに合意形成が難しく、形骸化してしまう例は少なくありません。しかし発酵バレーNAGANOでは、立場や背景が異なる人々がそれぞれの動機を胸に同じ場に集い、議論をしつつ、前へと着実に動き始めています。その理由を探ると、3つのポイントが浮かび上がってきました。

 

一つ目は、テーマの具体性です。「発酵食品」という、地域に根づき、代々受け継がれてきた文化が明確な核として存在していること。そして今、伝統ある蔵元の廃業などが象徴するように、その文化が現実的な危機に直面していること。この切実さこそが、立場や思考の違いを越えて「次の世代に残したい」という強い引力を生み出していました。

 

二つ目は、「懐の深い」大人たちによる後ろ盾です。味噌メーカー大手のマルコメや老舗酒蔵・宮坂醸造の社長を始めとする発酵食品事業者が、「長野の発酵文化を次世代につなぐ」という強い使命感を共有していました。彼らは、短期的な成果や利益にとらわれることなく、中長期的な視点でゴールイメージを描き、特に若い世代の当事者意識と新たなチャレンジを尊重する姿勢を貫いています。そのため、若手の話を丁寧に聞き、知見や機会を惜しみなく提供する。そしてその立ち振る舞いがコンソーシアムに参画する周囲の大人に伝播している光景が、とても印象に残りました。

 

三つ目は、未来に向けて、あえて決め切られていない「余白」があることです。5年後、10年後の将来像をゆるやかに共有しつつも、誰がリーダーとなり、どのような段取りで推進していくのかについては、トップダウンで細かく決められているわけではありません。どのメンバーでも自由に提案が可能で、事務局や理事会もその検討をしっかりと支援してくれるため、主体性をもって挑戦できる体制が整っています。私たちが取材をした際も「何から始めるか」を丁寧に探りながら、異業種の方々も交えた自由度の高い前向きな試行錯誤が続いていました。

 

様々な有機物が重なり合い、時間をかけて育っていく発酵食品のように…発酵バレーNAGANOもまた、携わる人や企業、そして地域の風土を活かしながら、これからの発酵文化の「新しい味」や方向性を生み出しつつあります。民間企業の強い危機意識を起点に、ボトムアップで育まれてきたこのコンソーシアムの歩みからは、地域に根ざした産業とコンソーシアムが持続~発展していくための“プロセス”そのものを学ぶことができるように感じました。

    

\ミライクリエーター リーダー 川村悠華さんからのメッセージ/

一つの小さな会社だけでは実現できないことも、様々な意見を持つ人と交流し、学び合いながら形にできる。それが、発酵バレーNAGANOの何よりの価値だと感じています。今後は真面目に取り組みつつも、もっと楽しく「遊べる」余白も大切にしながら、クリエイティブな企画にも挑戦していきたいと考えています。引き続き、発酵バレーNAGANOの取り組みにご注目いただけると嬉しいです!

▶発酵バレーNAGANO:https://hakkou-valley.nagano.jp/

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