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鹿児島県曽於(そお)郡大崎町|1998年〜

サーキュラーヴィレッジ・大崎町/大崎町SDGs推進協議会 

資源だけでなく、人も知識も循環する大崎町オリジナルの仕組みとは
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■概要:日本一のリサイクル率を達成したまちの取り組みとは?

鹿児島県曽於(そお)郡大崎町は、1990年代後半から20年以上にわたってリサイクルに取り組み、日本一のリサイクル率を過去16回達成するなど、全国から注目を集める自治体のひとつ。現在はごみを28品目に分別し、全体のごみの重量の約6割を占める生ごみと草木はまち全体で堆肥化している。

 


大崎町の家庭ごみの出し方をまとめたポスター。28品目に分ける必要がある。

 

■背景・経緯:埋立処分場の延命化からはじまったリサイクル

大崎町は1998年、まちの埋立処分場の残容量が予想以上に早く逼迫したことをきっかけに、「焼却炉を建てるか、埋立量を減らすか」の選択を迫られた。議論の末、焼却炉の建設と運営には莫大なコストがかかることから、処分場の延命を図る方向へと舵を切り、本格的なリサイクル施策がスタート。以来、町民・行政・企業が一体となって、ごみの減量と資源の循環に取り組み続けている。

 


大崎町ではごみと土を交互に重ねる方式で埋め立てている。埋立処分場は現在約5割が使用済みで、残された使用可能期間はおよそ40年とされているそう。

 


大崎町では週に3回、自治会ごとにバケツで生ごみを回収し、町内全域の生ごみを「そおリサイクルセンター」の大崎有機工場で堆肥化している。発酵が進む生ごみからは湯気が出ていて、土のいい香りがした。

 

■実績:地域資源を活かしたリサイクルシステムを確立

特産品である芋焼酎を製造する機械を転用した生ごみの処理システムや、おがくずを活用したごみ収集バケツの清掃方法など、地域資源を活かして独自の仕組みを構築。近年では、使用済み紙おむつから新たな紙おむつをつくる、世界初の「紙おむつの水平リサイクル」にも挑戦している。

 

■展望:資源だけでなく、人や知識などの“新たな循環”も

「リサイクル率日本一」という実績は、住民にとっては長らく「当たり前」のことだった。しかし、外部からの視察や交流を通じて、取り組みの価値を改めて認識する動きが広がっている。近年では、視察対応やまちの案内を住民が担う機会も増え、外部からの評価を直接受けることで、まちや自分たちの日々の取り組みに対する誇りが育まれている。さらに、リサイクルの収益を活用した奨学金制度や、地域内外の対話を生み出す場づくりなど、人や知識などの“新たな循環”も生まれ始めた。こうした取り組みは、持続可能な循環型社会の実現に向けた実践例として、国内外における先進的なモデルケースとなりつつある。

 


大崎町SDGs推進協議会が開催したワークショップ。20名を超える参加者が集まり、まちについての対話を深めた。

 

取材者コメント (編集部 小関美南)

自分たちの日常が、世界を、そして次世代を変えるという実感が持てるまち

 

「リサイクル率日本一」という前評判から、どこか“特別なまち”を想像していた私たち。しかし最初に耳にしたのは、「リサイクルは昔からずっとやっている、当たり前のこと」という、町民の方々の少し意外な言葉でした。

 

大崎町に住む方々は、日常的にごみを28品目に仕分けていて、そこまで細かな分別の習慣がない立場から見ると、その行動は驚きの連続です。しかし、大崎町で暮らす人々にとってはそれが“ふつうの暮らし”であり、「子どもや孫の代のことを考えたら、今できることをするだけ」と語る姿には、気負いのない誇りと、生活に根ざした静かな意志が感じられました。

 

足りないものを数えるのではなく「すでに地域にあるもの」を活かす細部のアイデアも、このまちならではの魅力のひとつです。芋焼酎を製造するための機械を改造して生ごみ処理装置を製造したり、おがくずを使ってごみ収集バケツを清掃したりと、そのアイデア一つ一つのユニークさや発想の柔軟さはもちろん、何よりそれを説明してくれる大崎町の人たちの表情や声の弾む様子から、工夫を凝らすこと自体を楽しんでいるように感じられたことが印象的でした。「やらねば」「やるべき」といった義務感だけでは、きっとこんな生き生きとした表情にはならなかったことでしょう。

 

いま、大崎町では視察対応やまちの紹介を住民の方々が自ら担い始めています。自分のまちを外に向けて紹介し伝えることで、その価値を改めて実感し、暮らしの中で抱いていた思いが、言葉となって誇りにつながっていく。そんな新たな循環が生まれている様子を目の当たりにしました。

 

「あなたにとって、シビックプライドとは?」という問いに、「今まで考えたこともなかったけれど、まちの仲間の顔がパッと頭に浮かびました」と、笑顔で答えてくださった方がいました。まちに対する誇りや愛着は、日々のささやかな関わりの積み重ねの中に宿るもの。課題に向き合い、時に迷いながらも成果を築き上げてきた経験と、仲間との連帯感が、「自分たちの好きなまちのために動く力」へとつながっていくのだと実感しました。

    

\大崎町SDGs推進協議会の大保さんからメッセージ/

大崎町の挑戦は、“特別な誰か”が始めたものではなく、住民のみなさん一人ひとりの小さな行動の積み重ねから生まれました。「自分のまちでもできるかな?」「ちょっと話を聞いてみたい」そんな気持ちが少しでも湧いた方、ここから一緒に一歩を踏み出してみませんか?

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