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島根県雲南市|2020年~

地域おせっかい会議/株式会社CNC

住民同士で地域を元気にする、日本初の“おせっかいの事業化”
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■「地域おせっかい会議」は島根県雲南(うんなん)市の取り組みで、月1回地元住民が集まり、だれかの「○○をやりたい!」に対して住民同士でアイデアを出したり、力になれる人を紹介したり、仲間をつくったりする、“やりたい”の一歩を踏み出すための会議体(話し合いの場)。

 

■運営しているのはコミュニティナース(※)の育成・実践支援・研究を行っている株式会社CNC。2020年に島根県雲南市から「おせっかい活動を中心とした健康なコミュニティづくり事業」を受託し、地域のつながりや思いやりを仕組みとして支えている。いわば、“おせっかい“を地域づくりの中心に据えた、新しい形のソーシャル事業である。

 

※コミュニティナース:「コミュニティナーシング」という看護の実践からヒントを得てCNCが独自に提唱・普及してきたコンセプト。ナースという名称は職業や資格ではなく、誰もが実践できる行為・あり方。暮らしの身近なところで元気なうちから、『毎日の嬉しいや楽しい』を一緒につくり心身そして社会的な健康やウェルビーイングに寄与すること。

 

■会議には地元の美容院や郵便局など、地域の人にとって暮らしの動線にある事業者や、町内会をはじめとするコミュニティのリーダー、まちをより良くしたいと考える住民が、それぞれの立場を超えた“個人”として参加。日常の困りごとや挑戦したいことを共有し合い「おせっかい」をし合うことによる、地域ならではの課題解決を目的としている。

 

■2023年からは雲南市に限らず全国各地のおせっかいを称え合う「GOODおせっかいAWARD」を開催。全国の地域で常日頃から行われている「GOODおせっかい」にスポットライトを当て、おせっかいの効果や大切さを発信することで、全国各地にGOODおせっかいが広がっていくことを目指している。

 

 

取材者コメント (編集部 八木) 

地域課題解決のカギは、おせっかいの再解釈!雲南市に学ぶ、住民の一歩を引き出すまちづくり

 

「おせっかい」というと、余計なお世話などネガティブな印象を持たれがちですが、ここでいうおせっかいには「お互いさまの助け合い」の意味が込められています。誰かの挑戦を手伝ったり、直接手伝えなくても他の人を紹介して力になれるようにしたり。誰かにとって苦手なことが、誰かにとっては好きなこと、という場合があるように、住民の得意分野を切り口に暮らしの中の課題を元気に解決する場が地域おせっかい会議です。

 

この会議、実は議論がメインではありません。住民同士が定期的に集まり、「実はこんなことやってみたい」「私はこんなことが得意」といった、お互いの強みや楽しみを見つけて、自覚することを大切にしています。プロジェクトマネージャーの池山さんは、この場を通じて住民が「地域のことに関わりたい!」と思い始めることがポイントだと話します。

 

雲南市でコミュニティナースとして活動する多々納(たたの)さんは、この会議を重ねるうちに、日常会話の中でも“おせっかいの種”に気づくアンテナが鋭くなると言います(これを「つぶやき拾い」と呼んでいるそう)。実際に、つぶやき拾いから始まった活動について、“おせっかいを焼いた側”である小澤さんにお話を伺いました。

 

「うちにずっと掃除ができていない蔵がある」という住民の一言がきっかけで、掃除を手伝うことになった小澤さん。初め、蔵の持ち主は「こんな汚い場所を掃除してもらうなんて申し訳ない」と遠慮していたそうです。でも小澤さんは「私がやりたいからやっているんですよ」と伝え、予定していた掃除に留まらず“よかったら”と蔵のDIYにも挑戦しました。

 

その姿を見た蔵の持ち主は次第に「小澤さんが楽しんでやってくれているなら、もっとこの蔵を活用できたら喜んでもらえるかもしれない」と考え始め、ついには「この蔵を人が集まる場所にしたい」と提案するようになったと言います。小澤さんのおせっかいが、蔵の持ち主の「助けてもらっている」という感覚から、「一緒に楽しんで新しいことを生み出している」という感覚へと変化を促したのです。

 

もし、この活動が「掃除だけ」を目的にしていたら、掃除が終わるとそこで終了していたかもしれません。しかし、小澤さんが“よかったら”というおせっかいの一歩を踏み出したことで、蔵の持ち主も自分から次のステップを踏み出しました。

 

“自分からまちに関わること”というと、ハードルが高いと感じることもあると思います。でも、隣の人にちょっと声をかけてみたり、一緒に何かをしてみたり、少しのおせっかいがまちを良くする力になると感じました。そう思うと、あんなには高く感じていたハードルも、自分にもできるかもしれないと思えてくるものです。小さなおせっかいには、自分から関わっていきたいという一歩を踏み出す力がある、ということをこの事例は教えてくれます。

 

▼地域おせっかい会議が開催されるのは、コミュニティナースの拠点「みんなのお家」(まちの診療所を改装して利用している)

 

▼コミュニティナースとして活躍している多々納さん

 

▼雲南市のプロジェクトマネージャーを務める池山さん

 

▼コミュニティナースのインターン生として活躍する小澤さん(右)

 

    

\CNCの池山さんからメッセージ/

今回紹介した「地域おせっかい会議」以外にも、CNCでは全国でコミュニティナースを広げる取り組みを行っています。「もう少し知りたい」「自分のまちでもできるかな?」そんな気持ちが少しでも湧いた方、ここから一緒に、一歩を踏み出してみませんか?

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