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香川県|2018年~

まちのデータ研究室/e-とぴあ・かがわ×香川大学交流拠点事業

地域の課題を「市民が自ら開発したシステムで解決する」DX人材育成教育プログラム
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■「まちのデータ研究室」は、「スマートシティたかまつ」の実現に向けた活動の一環として、香川県高松市にある情報通信技術(ICT)の参加体験施設「情報通信交流館」と香川大学が主催している、地域のDX人材育成教育プログラム 。
プログラムの参加者は、計4回のカリキュラムを通して、データを用いて地域の課題を解決するシステム や、地域の魅力を分析・可視化するシステム を“自らの手で”開発 する。

 

■参加者は高校生からシニアまで様々。特筆すべきは、多くの参加者が「これまでシステム の開発経験がない」ということ。地域をもっとよくしたいと思っている人が、必ずしもデジタルスキルがあるとは限らない、という課題に対して 「システム開発 に必要なプログラミング等の技術要件の定義 」ではなく、「地域をよくするためにはどんなアクションが必要かというビジネス要件の定義 」ができる人財 を集めたいと考えたからだ。

 

■プログラムで重視しているのは「フィールド」と「アジャイル」。開発したシステムの試作品(プロトタイプ) は、必ず「フィールド=現場」で試す。そこで想定利用者(ターゲットユーザー) に使ってもらうことによって、より要件がはっきりと見えてくる。また、官だけだと難しい「アジャイル=試行錯誤をしながら価値を高めていくという“失敗を前提とした”プロセス」を可能にしたのは、情報通信交流館「e-とぴあ・かがわ」×香川大学という連携体制。
これからも、この2者がタッグを組み、自らの手で地域をよくする人財を育てていく試みだ。

 

 

取材者コメント (編集部 山下) 

「課題、課題」と言いすぎない。どうすればもっと楽しい体験になる?というUX視点で地域の課題を捉えなおす

 

「落ち葉の掃除って、やりたくないじゃないですか。でも焼き芋をつくるのは楽しいから、みんなやりたくなるんですよね」と語るのは、香川大学DX推進研究センターの准教授、米谷雄介さん。これまで印象に残ったプログラムについてたずねた時に、話してくれたエピソードです。

落ち葉と焼き芋。一聴すると、システム開発とまったく関係がなさそうなこの話が、実は重要なポイントなのだそう。

 

「地域に側溝が多くて、そこに落ち葉が詰まると汚水があふれる、というのが課題だったんです。でも、どの側溝に落ち葉が詰まっているかを調べて掃除するのなんて、嫌ですよね」。

その時、あるアイデアがプログラム参加者の間から生まれたという。

「焼き芋のイベントをやればいいんじゃないか。焼き芋を食べるために落ち葉を集めるなら、楽しんでできるはず。落ち葉を集めた場所をデータ化すれば、どの側溝に落ち葉が多く詰まるのかがわかるし、落ち葉を集めることが側溝の掃除にもなる」。

 

米谷さんはこの経験から、地域の問題を「課題と捉えすぎる」と、かえって効率的ではなくなる、と考えました。あまり「課題、課題」と言わず、ちょっと視点を変えて、困難なことを簡単にしたり、嫌なことを楽しい体験にするための「課題の再定義」が大事だと言います。「結果的に、そういえばこれが課題だったね、と気づくくらいがいいんです」と。

 

このプログラムにおける、米谷さんの“相棒”的存在、情報通信交流館「e-とぴあ・かがわ」の館長、樋川直人さんも、「このプログラムは、単なるテクノロジー学習やデジタルスキル講座ではありません」と語ってくれました。「スキルそのものだけではなく、課題の見つけ方や、その深掘りの仕方、それをどうやったら使いたくなるかという「ユーザーエクスペリエンス(UX)」のつくり方を学べるプログラムになっています」。

 

発想からプロトタイピング、アウトプットまですべてのプロセスに関わった市民のみなさんは、「自分の力で地域をよくすることができる」「地域のために貢献できそう」という、自己効力感が高まるそうです。そんな実感を得た人たちが、ここで学ぶだけにとどまらず、学んだことを地域社会に還元するための働きかけをしていきたい、と、二人とも力強い言葉で語ってくれました。

スキルアップだけではなく、市民の地域に対する主体性もアップする事例です。

 

 

▼情報通信交流館「e-とぴあ・かがわ」の館長、樋川さん(左)と、香川大学DX推進研究センターの教授、米谷さん(モニター内)

 

▼実際の活動の様子がこちら。香川県多肥エリアの地域に役立つシステム開発過程で、地元の高校生の協力を得ながらアイデア出しを行っている(e-とぴあ・かがわ公式noteより)

 

▼プロジェクトに参加した各チームの発表会の様子。全国的にも防災意識の高い地区として有名な、丸亀市川西地区の「チーム川西」は防災マップを制作(e-とぴあ・かがわ公式noteより)

 

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